カモメがやってきた。 [カモメ達]
今年も、河口にカモメの大群がやってきました。
毎年、今頃の時期になると、大きな群れがやってきます。
ここは、河口なので満潮→干潮の時間は、ほぼ淡水になります。
カモメ達は水浴びのため、沖から、ここにやってきます。
今の時期、昼間は、大潮の干潮時でも水位が高く、中州が殆どない為、
チョットだけ現れた中州に、ひしめきあった状態で居ます。
もうグチャグチャ。また200m程の沖合のため識別など、
殆ど出来ません。
●こんな感じです。500羽以上は居ると思いますが数えられません。
写真を細かく見た感じでは9割は、”ただカモメ”で、
残りがオオセグロ、セグロ、ウミネコ、ユリカモメという感じです。
一部を拡大すると。
飛ぶと。
もうグチャグチャで、何が何だかわかりません。
これだけ、”ただカモメ”が居るので、少しお勉強しましょう。
カモメと言うと、色々なカモメの総称で呼ばれる事が多いのですが、
和名が”カモメ”という種類のカモメが居ます。紛らわしいので、
ただのカモメと言う意味で”ただカモメ”と呼んでいます。
”ただカモメ”は、生まれて3~4年で大人の成鳥になります。
生まれて1~3年の個体は、それぞれ羽衣が異なります。
ちなみに小型のユリカモメは2年、大型のセグロカモメは
成長になるまで、4~5年を要します。
そのため、カモメは識別が難しい野鳥と言えます。
●”ただカモメ”の年齢による羽衣の違いです。
幼羽 :生まれて直ぐに生えてくる羽で、幼羽が生えそろうと
飛べるようになります。今の時期は幼羽の個体は殆ど
いない為、ここでは紹介できません。
1W(第1回冬羽):昨年夏に生まれた個体で満年齢でいうと約1歳
(正確には0歳8ヵ月くらい)です。
体全体に斑が密にあり、成鳥とは全く異なる容姿です。
2W(第2回冬羽):満年齢で2歳(1歳8か月くらい)。
成鳥に近くなりますが、尾羽や各部には黒斑が残り
初列風切先端の白斑が、まだ殆ど見られません。
3W(第3回冬羽):満年齢で3歳(2歳8か月くらい)。
かなり成鳥に近い羽衣になり、尾羽の黒斑は無くなります。
雨覆などの一部に黒斑が残ります。
ミラーや初列風切先端の白斑は小さいです。
4W~20W:”ただカモメ”は20歳くらいの寿命だそうですので4W以降は成鳥です。
※3~4月頃になるとS(夏羽)に変わってきて、体の色は白っぽくなります。
幼羽→1W→1S→2W→2S→3W→3S→成鳥冬羽→成鳥夏羽というように
換羽して行きます。ただ夏羽は、繁殖地に行ってしまう為、
日本では、あまり見られない羽衣です。
ちなみにユリカモメなどの小型のカモメは逆で、夏羽になると
頭の色は黒くなります。
中型~大型のカモメは、白くなります。
※初列風切とかミラーは以下の写真の場所です。
※日本でよく見られる、”ただカモメ”は
①シベリア北東部で繁殖する。亜種kamtschatschensis(和名:カモメ)。
日本で見られる”ただカモメ”は、99%この亜種です。
②シベリア西部から中部で繁殖する、亜種heinei (和名:ニシシベリアカモメ)。
③北米北部で繁殖する、亜種brachyrhynchus(和名:コカモメ)。
の3亜種です。
亜種の識別をしようと、試みましたが、ほぼ初列のパターンしか分からないし
静止していると、何処に行ったか分からなくなる為、その他の部分
(頭や嘴の大きさ、斑の感じなど)が、分からず断念しました。
ただ、初列パターンの違いから、らしい個体を拾ってみました。
ほぼ初列パターンだけで、正確な識別ではないので参考程度として下さい。
①まずは、カモメ(亜種kamtschatschensis)成鳥です。
以下3枚は同一個体です。
P8にムーンは無く、P7に大きなムーンがあります。P5の黒斑は帯状に
なってます。嘴に斑は無く、特に小さい印象もありません。
①次も、カモメ(亜種kamtschatschensis)成鳥だと思います。
以下2枚は同一個体です。
この個体は、P8にコカモメのようなムーンがあります。ただP5の黒斑は帯状に
なっています。嘴には斑は無く、大きさも小さい印象はありません。
顔つきも可愛いコカモメとは、程遠い感じがします。
②次は、亜種heinei (和名ニシシベリアカモメ)成鳥じゃないかな?
という個体です。以下2枚は同一個体です。
この個体は、P8にムーンはありません。またP7のムーンは小さいです。
P5の黒斑は太い帯状。P4にも黒斑があります。またP1~P3の白色帯も
細く見えます(向きにより見え方が変わるので、正確ではありませんけど)。
嘴には、黒斑があります。
※この個体、P9とP10の先端に白斑が殆んどありません。3Wには無い個体が
いますが、ミラーは十分に大きいので成鳥だと思います。
③次は、亜種brachyrhynchus(和名:コカモメ)成鳥じゃないかな?
という個体です。以下3枚は同一個体です。
P9の黒色部が狭いし、P8のムーンは大きい。P5の黒斑はやっと確認出来る
くらいに小さく途切れています。嘴等が確認できないので、
なんとも言えませんけど。
※P9~P5先端の白斑が大きいですね。
●1回冬羽(1W)について。
1Wは尾羽と上尾筒の斑で、ある程度識別できるのですが、
なんか良く分かりませんでした。確かに上尾筒の斑は密にある個体から、
全く無い個体まで居ますが、個体差のような気がします。
ただ3、4枚目の個体は、亜種heinei (和名ニシシベリアカモメ)かも
しれません。
なんか歯切れの悪い識別になってしまいました。
もう少し、条件のいい所で観察したいですね。
約2時間で4000枚くらい撮影してしまいました。連写しないと
個体を追えないので仕方ないですが、後で確認が大変です。
ただ、4000枚撮っても、電池残量が50%以上ありました。
Nickonさんは、電池持ちがいいですね。予備電池はいらないです。
なを、カモメの識別を詳しく知りたい方は下記を購入するといいと思います。
この記事も、下記文献を参考に記載しています。
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おしまい。
これは素晴らしい成果を上げましたね。カモメのバイブル
を手にして識別能力が一段とUPされたように思います・
決して観察条件が良いとは言えない状況で初列と尾羽の
識別点に重きを置いた観察は見事だと思います。
takapy77さんのフィールドでは小型や中型のカモメを
掘り下げるのが良いように思います。感心ばかりして
いないで私もカモメを頑張らなきゃとは思うのですが
体調がイマイチで海方面へも中々足を延ばせないのが
口惜しい状況です。
by ramblin (2020-02-20 21:15)
MFで見られるカモメは冬季はユリカモメが圧倒的に多くその次は
セグロカモメで、ただのカモメは意外に少ない気がします。
それにしてもカモメの識別は難しいです。
今日は東京でも強い南風(春一番のようです)が吹いたので
鳥達の動きもありそうですね・・・。
by queso (2020-02-22 16:26)
ramblin さん、こんにちは。
このフィールドは、条件がいいとは言えませんけど、
やる気があれば、なんとかなりますね。
カモメの識別図鑑が出版され、今シーズンの目標としてましたから
真剣に見てみました。
やはり、フィールドで実際の個体を見てみると、個体差が
かなりあり、図鑑だけでは分かりにくい個体も多いですね。
でも、この図鑑のおかげで、識別がまた楽しくなりました。
体調は、私も今一です。まあこう寒暖差が大きいと仕方ないです。
花粉も飛び始めているようだし。お互い体調管理には気をつけたい
ですね。お大事に。
by takapy77 (2020-02-22 16:31)
カモメがすごい数ですね。大群を見ると楽しくなります。
子供の頃から名前を知っているカモメですが、カモメだと思っていた鳥がユリカモメだったりと以外と会う機会が少ないです。
by えれあ (2020-02-22 16:36)
queso さん、こんにちは。
カモメは、いつもこんなに多く居る訳ではなくて、この時期に
多くなります。カモメは、渡る時には群れになって、時には
数千羽の大集団で繁殖地に渡るようです。今の時期、群れが
集まって来ている段階で、その途中で当地にも寄って行くのだと
思います。
カモメの識別は難しいですけど、難しいから、やりがいが大きい。
と考えれば、それも楽しいです。
こちらは、今日は雨。雨が上がると強風が吹きそうです。
そろそろ、野鳥も移動の時期になりますね。移動途中に
これはという、野鳥が立ち寄ってくれるとありがたいですね。
by takapy77 (2020-02-22 16:41)
えれあ さん、こんにちは。
カモメが沢山居ると嬉しくなります。
私も、昔からカモメは知ってましたが、本当はカモメがユリカモメで、
カモメという鳥が別に居ることを、鳥を撮り始めてから知りました。
カモメは少ないですけど、今の時期大量に飛来して来る事も
近年知ったばかりです。
それにしても、今シーズンは、ユリカモメが少なかったです。
by takapy77 (2020-02-22 16:59)