帰ってきたホオジロガモ。 [ホオジロガモ]
前々回、掲載しました行方不明だったホオジロガモが帰ってきました。
2月25日、月一の病院の帰りにMFに寄った所、前回と同じ場所に
ホオジロガモ8羽を発見、ただ前回同様、遠いうえ空気の揺らぎが大きく
まともな、画像は得られませんでした。
ただ、8羽の構成は、雄成鳥生殖羽2羽、雄1年目冬(1st win.)2羽、雌4羽で
ある事が分かりました。
飛翔です。ホオジロガモは7羽(1羽だけミコアイサ雌が混じってます)。
8羽全ては入りませんでした。
その後27日には、雌3羽が抜け5羽の群れになりましたが、3月に入ってからは、
この5羽が行くたびに見られるようになり、前回よりマシな画像が得られたので
纏めておきます。ただやはり警戒心は強くて容易に近づけません。
★その前に。
野鳥(特にカモ)の羽衣について記載します。
鳥は繁殖期になると、メスの気を引くため綺麗な羽衣になります。
これを夏羽といいます。それに対し、非繁殖期の羽衣を冬羽といいます。
ただカモの場合は秋から冬にかけ換羽を行い、真冬には綺麗な羽衣(夏羽)
になります。冬に夏羽ではおかしいという事で、カモの場合は
生殖羽(又は繁殖羽)といいます。
非繁殖期の羽衣は、非生殖羽(又は非繁殖羽)=エクリプスといいます。
夏羽=生殖羽(繁殖羽)。
冬羽=非生殖羽(非繁殖羽)=エクリプス 。
という事になります。
カモが繁殖可能になるのは、殆どの種で生まれてから1年(満年齢で1歳)です。
したがって幼鳥も、冬~春に幼羽→1回非生殖羽→1回生殖羽に換羽します。
(時期的に成鳥からは少し遅れますが)。
ここからが、分かりにくいのですが、
潜水採餌カモは、1回生殖羽に換羽するのが遅い為、春になっても
幼羽や1回非生殖羽と同様な羽衣の種が多く存在します。
その為、1回生殖羽とは表記せずに1年目冬(1st win.)と表記しています。
(当ブログも)。
この1年目冬は、生殖羽や非生殖羽とは関係なしで、冬に見られる羽衣という
意味になります。したがって1年目冬には、幼羽、1回非生殖羽、1回生殖羽、
1回生殖羽移行中の全ての羽衣を含みます。
この表記は、1年目では羽衣に変化の少ないカワアイサ雄とか
潜水ガモの雌について表記するには便利な表現ですが、
1回冬羽と混同される為、混乱を招く原因にもなります。
明らかに幼羽、1回非生殖羽、1回生殖羽(移行中も含め)が分かる羽衣
については、潜水採餌ガモであっても、1年目冬(1st win.)は
使わない方がいいと私は思います。
但し、羽衣が分からない場合は便利な表記でもある為、
今後も1年目冬(1st win.)を使っていくと思います。
ただ、1年目冬(1st win.)は、1回冬羽ではない事を承知願います。
★さて、本題に戻りますが、ホオジロガモの場合は、冬~春にかけて
幼羽→1回非生殖羽→1回生殖羽に換羽します。移行途中の羽衣を
いくつか紹介します。(同じ個体では、ありません)。
●2020/1/22撮影。この個体は雄ですが、殆ど幼羽or1回非生殖羽で
頬の白斑もありません。
●2022/1/3撮影。この個体は、胸が白くなり頬の白斑も出てきています(矢印の子)。
●今回の個体、2022/3/5撮影。1回生殖羽移行中の個体は2個体いて、
どちらも、頬の白斑がしっかり出ていて体も白くなり生殖羽に近くなっています。
左から2番目が、雄1回生殖羽移行中個体b、3番目が個体aです。
一番左側の個体が、雄1回生殖羽移行中個体aです。2番目が個体bです。
ちなみに3,4番目が雄成鳥生殖羽。5番目が雌成鳥です。
幼羽→1回非生殖羽→1回生殖羽に換羽します。移行途中の羽衣を
いくつか紹介します。(同じ個体では、ありません)。
●2020/1/22撮影。この個体は雄ですが、殆ど幼羽or1回非生殖羽で
頬の白斑もありません。
●2022/1/3撮影。この個体は、胸が白くなり頬の白斑も出てきています(矢印の子)。
●今回の個体、2022/3/5撮影。1回生殖羽移行中の個体は2個体いて、
どちらも、頬の白斑がしっかり出ていて体も白くなり生殖羽に近くなっています。
左から2番目が、雄1回生殖羽移行中個体b、3番目が個体aです。
一番左側の個体が、雄1回生殖羽移行中個体aです。2番目が個体bです。
ちなみに3,4番目が雄成鳥生殖羽。5番目が雌成鳥です。
前々回、変な事を書いてしまったのは、ホオジロガモ雄1回が、ここまで成鳥に
似た羽衣になるという認識が無かったからであり、1st win.という表記が
あるため、潜在意識があったからだと思います。
★雨覆~次列風切りまでのパターンについて
雨覆~次列風切りまでのパターンから判断し、
左から、1番目と2番目が雄成鳥生殖羽。
3番目が雄1回生殖羽移行中個体a。5番目が雄1回生殖羽移行中個体b。
4番目が雌成鳥です。
雨覆~次列風切りまでのパターンをもう少し詳しく見てみます。
小雨覆は、雄成鳥では白色ですが、雄1回では暗色(灰色)です。
この暗色部分が個体aの方が、個体bより暗色である事が分かりました。
キタホオジロガモは、ホオジロガモより暗色で、小雨覆だけ見ると
個体aは、キタホオジロガモに近いのですが、大雨覆・次列風切の
白色部は、個体a・個体bどちらも十分に広く、ホオジロガモの
パターンであるため、ホオジロガモと判断しました。
●雄1回生殖羽移行中、個体a。
●雄1回生殖羽移行中、個体b。
●並んでいると良く分かります。
●もう少し詳しく見ると
小雨覆は、かなり暗色です。(雄1回生殖羽移行中、個体a)。
●ちなみに雄成鳥は、雨覆~次列風切りまで純白です。(左の子)。
雌成鳥は、黒帯によって明瞭に3段に区切られています。(右の子)。
●ミコアイサも混じっていますが、ホオジロガモは5羽います。
翼帯を見ると、雄成鳥、雄1回移行中個体aと個体b(矢印)、雌が識別出来ます。
※頬の白斑について:
1回生殖羽移行中の個体は白斑が形成途上である為、キタホオジロガモと
似た形状に見える場合があります。今回の個体は1回生殖羽移行中と
分かった為、特に触れていません。(この個体の頬の斑の形成は
完了してるように見えるけど・・・)。
という訳で、
変なホオジロガモは、
ホオジロガモ、雄1回生殖羽移行中の個体であると結論付けました。
注):写真は全て順光では無いので色が出ていない写真が多くなってしまいました。
色味については、参考程度として下さい。
ホオジロガモは警戒心が強く200mくらいの距離でも、私を認識すると
すぐに飛んでしまいます。
ただ、そのまま飛んで行ってしまう訳でもなくて、300~400m先に着水します。
そして、そこまで歩いて行くと、また元の場所に飛んで行くといった具合です。
なんか、ハンターから逃げて弾の届かない所まで行くって感じです。
狩猟期間は終わりましたが、ここは狩猟禁止地区ではなく、狩猟時期には
ハンターもうろついている場所です。そのあたりの関係のように思えます。
雨覆~次列風切りまでのパターンから判断し、
左から、1番目と2番目が雄成鳥生殖羽。
3番目が雄1回生殖羽移行中個体a。5番目が雄1回生殖羽移行中個体b。
4番目が雌成鳥です。
雨覆~次列風切りまでのパターンをもう少し詳しく見てみます。
小雨覆は、雄成鳥では白色ですが、雄1回では暗色(灰色)です。
この暗色部分が個体aの方が、個体bより暗色である事が分かりました。
キタホオジロガモは、ホオジロガモより暗色で、小雨覆だけ見ると
個体aは、キタホオジロガモに近いのですが、大雨覆・次列風切の
白色部は、個体a・個体bどちらも十分に広く、ホオジロガモの
パターンであるため、ホオジロガモと判断しました。
●雄1回生殖羽移行中、個体a。
●雄1回生殖羽移行中、個体b。
●並んでいると良く分かります。
●もう少し詳しく見ると
小雨覆は、かなり暗色です。(雄1回生殖羽移行中、個体a)。
●ちなみに雄成鳥は、雨覆~次列風切りまで純白です。(左の子)。
雌成鳥は、黒帯によって明瞭に3段に区切られています。(右の子)。
●ミコアイサも混じっていますが、ホオジロガモは5羽います。
翼帯を見ると、雄成鳥、雄1回移行中個体aと個体b(矢印)、雌が識別出来ます。
※頬の白斑について:
1回生殖羽移行中の個体は白斑が形成途上である為、キタホオジロガモと
似た形状に見える場合があります。今回の個体は1回生殖羽移行中と
分かった為、特に触れていません。(この個体の頬の斑の形成は
完了してるように見えるけど・・・)。
という訳で、
変なホオジロガモは、
ホオジロガモ、雄1回生殖羽移行中の個体であると結論付けました。
注):写真は全て順光では無いので色が出ていない写真が多くなってしまいました。
色味については、参考程度として下さい。
ホオジロガモは警戒心が強く200mくらいの距離でも、私を認識すると
すぐに飛んでしまいます。
ただ、そのまま飛んで行ってしまう訳でもなくて、300~400m先に着水します。
そして、そこまで歩いて行くと、また元の場所に飛んで行くといった具合です。
なんか、ハンターから逃げて弾の届かない所まで行くって感じです。
狩猟期間は終わりましたが、ここは狩猟禁止地区ではなく、狩猟時期には
ハンターもうろついている場所です。そのあたりの関係のように思えます。
今回の観察で、石ころゴロゴロの河原を行ったり来たりでかなり疲れました。
でも、帰ってきてくれて良かったです。
おしまい。
こうやって、観察をし、研究をされているのは
素晴らしいですね^。^
by アヨアン・イゴカー (2022-03-08 10:08)
今回のtakapy77の記事を読みつくづく実感したのは
「図鑑は隅々まで丁寧に読むべし」ということでした。
水面採餌ガモと潜水採餌ガモの成鳥では無い個体に於ける
表記の違いが気になっていましたが「カモ識別図鑑」の
用語解説の19ページにちゃんとか記述されていたのですね。
得心が行きました。気付かさせてくれて有難うございます。
またホオジロガモ雄1年目冬から1回生殖羽への移行中の
個体の画像は「カモ識別図鑑」にはイラストや画像の掲載が
無いのでとても参考になりました。
by ramblin (2022-03-09 14:02)
潜水採餌の鴨の換羽の件、恥ずかしながら知りませんでした。
探鳥というのは調べることは無限大なのだと感じます。
ついつい綺麗な羽衣やユニークな行動などに目が行ってしまう
私ですが、もう少し文献も丁寧に読まねばと痛感致しました。
by queso (2022-03-10 13:37)
アヨアン・イゴカー さん、今晩は。
なんか疑問があると、とことん突き詰める性格なので
観察とか研究って、楽しいですよね。
by takapy77 (2022-03-11 19:34)
ramblin さん、今晩は。
「図鑑は隅々まで丁寧に読むべし」確かにそうですね。
今回、色々調べて私も知らなかった事を色々知りました。
ホオジロガモは、幼羽から1回非生殖羽に換羽して、
その後、引き続き1回生殖羽に換羽するなんて知りませんでした。
他の野鳥もそうなので、当たり前の事なんですけどね。
文章を読めば書いてあるのですが、私も読んで無い事が多いです。
イラストと写真は、もう少し色々掲載してくれると
ありがたいですけど。
by takapy77 (2022-03-11 19:45)
queso さん、今晩は。
やはり、探鳥や観察は楽しいです。
情報で、動くのもいいのですが、やはり自分探して、観察すると
得られる知識は、格段に多いです。
今回、私も書いてあるのに読んでない事が多くあり、
記事として纏めて、色々勉強になりました。
by takapy77 (2022-03-11 19:50)
うやむやに成らずに結論が出ましたね。
私は知識が無さ過ぎて分からない部分もありますが、こんな風に順を追って説明があると良いですね。
by えれあ (2022-03-12 16:11)
えれあ さん、今晩は。
帰ってきてくれて、ほんと良かったです。
なんとか、正体をつかめて迷宮入りには、なりませんでした。
色々調べて、知識が得られて良かったです。
by takapy77 (2022-03-13 20:14)